子供が首の激痛を訴えた際、病院に行くまでのわずかな時間であっても、親としては少しでも楽にしてあげたいと願うものです。しかし、良かれと思って行った家庭療法が、実は症状を悪化させる原因になることが多々あります。正しい応急処置の第一の原則は、何よりも「安静の確保」です。痛む部位を無理に動かそうとせず、子供が最も楽だと感じる姿勢を保たせてください。座っているのが辛い場合は、横にならせますが、首の下に丸めたタオルを敷いて頸椎のカーブを支えてあげると痛みが和らぐことがあります。次に、冷やすべきか温めるべきかという問題ですが、突然の痛みの直後は、炎症が起きていることが多いため、冷たいタオルなどで軽く冷やす「アイシング」が基本です。ただし、氷嚢などで長時間冷やしすぎると、かえって筋肉が強張り、血流が悪化して痛みが長引くこともあるため、十五分程度を目安に様子を見ましょう。一方で、絶対に避けるべき間違った療法の一つが「無理な牽引やマッサージ」です。特に子供の環軸椎亜脱臼が疑われる場合、首を引っ張ったり捻ったりする行為は、神経を傷つけたり脱臼を深刻化させたりする極めて危険な行為です。また、大人が使うような強力なマッサージ機を子供の首に当てることも厳禁です。子供の骨や神経は大人に比べてはるかに繊細であることを忘れないでください。さらに、鎮痛剤の安易な使用にも注意が必要です。熱がないからといって、家に残っている解熱鎮痛剤を自己判断で飲ませてしまうと、本来医師が確認すべき「痛みのピーク」や「症状の変化」を隠してしまい、正確な診断を妨げることになります。どうしても痛みが激しく、夜も眠れないような場合には、受診する医療機関に電話で相談し、指示を仰いでから服用させるようにしましょう。また、首を冷やす際に、冷感湿布を多用しすぎることも避けるべきです。湿布に含まれる成分が子供の肌には刺激が強すぎたり、アレルギー反応を起こしたりすることもあります。病院へ行く道中では、車の揺れが首に響かないよう、バスタオルを首に巻いて簡易的な固定を行うのが良い方法です。適切な「何もしない勇気」と「最小限のサポート」こそが、医療機関にバトンを繋ぐまでの最善の親の役割です。正しい応急処置を知っておくことは、いざという時のパニックを防ぎ、子供に安心感を与える最高のケアになります。家庭での対応はあくまで一時的なものであると割り切り、早急に専門家の診断を仰ぐ体制を整えることが、トラブルを未然に防ぐ鍵となります。
首が痛い時の正しい応急処置と避けるべき間違った家庭療法