振り返ってみれば、私が薬剤師になるために過ごした大学生活は、まさに学問の山を一つずつ登っていくような過酷な日々でした。高校を卒業して期待に胸を膨らませて入学した薬学部でしたが、一年次から課される膨大な講義数と実験レポートの多さに、当初は戸惑いを隠せませんでした。薬剤師になるためには、単に薬の名前を覚えるだけでは不十分で、その薬が体内のどの受容体に作用し、どのような代謝経路を辿り、副作用がなぜ起きるのかという機序を完璧に説明できるまで落とし込まなければなりません。二年、三年と進むにつれ、専門科目はより複雑さを増していきました。有機化学の反応式をノートが真っ黒になるまで書き殴り、解剖学の講義では人体の精緻な構造に圧倒されました。試験前になると、図書館は同じ志を持つ仲間たちで埋め尽くされ、夜遅くまで互いに教え合う光景が日常となっていました。四年次には、私たちの世代を最も苦しめた「共用試験」が立ちはだかりました。知識を問うCBTと、実技を問うOSCEの両方をパスしなければ、実習生として現場に出ることは許されません。調剤の正確性、患者への服薬指導の言葉選び、さらには緊急時の対応まで、模擬患者を相手にした試験では極度の緊張感に包まれました。五年次になると、実際の病院や調剤薬局での実務実習が始まりました。それまでの座学とは異なり、目の前にいる患者さんの苦しみや不安に直接触れることで、自分が目指している職業の重みを痛感しました。薬剤師になるためには、科学的な知識だけでなく、他者に寄り添う「心」が必要なのだと現場で教わりました。最終学年である六年次は、卒業研究と並行して国家試験対策に全力を注ぎました。過去問を数千問解き、法規や制度の変更を逐一チェックする日々は、精神的にも肉体的にも限界に近いものでした。しかし、三月の試験当日、試験会場を出た瞬間のあの清々しさと、その後に届いた合格通知の喜びは、すべての苦労を帳消しにするほどのものでした。薬剤師になるためには、近道など存在しません。一歩一歩、自分の手で知識を積み重ね、困難を乗り越えてきた自負こそが、現在、医療の最前線で働く私の最大の支えとなっています。
私が薬学部で過ごした過酷で充実した六年間の全記録