40代最後の年を迎えた頃、私の指に異変が起きました。最初は、朝起きた時の軽いこわばりだけでした。しかし、次第に、ペットボトルの蓋を開ける、雑巾を絞るといった、何気ない動作で、人差し指の第一関節にズキッとした痛みが走るようになったのです。指は少し腫れて熱っぽく、見た目にもゴツゴツしてきたように感じました。整形外科を受診すると、レントゲン写真を見ながら「ヘバーデン結節ですね。加齢によるものですから、うまく付き合っていくしかありません」と言われ、痛み止めの湿布を渡されただけでした。しかし、痛みは一向に改善せず、他の指にも広がり始め、私は次第に、料理や趣味の裁縫をするのが億劫になっていきました。何よりつらかったのは、ピアノを弾く時に、思うように指が動かなくなったことでした。そんな時、同年代の友人と話していて、彼女も同じような指の痛みに悩んでいたこと、そして婦人科で相談したところ、症状が楽になったという話を聞いたのです。「指の痛みで婦人科?」と半信半疑でしたが、藁にもすがる思いで、私も近所の婦人科クリニックの扉を叩きました。そこで医師から、私の指の痛みは、更年期における女性ホルモンの減少が大きく影響している可能性を、丁寧に説明されました。そして、選択肢として、ホルモン補充療法(HRT)と、エクオールという成分のサプリメントを提案されたのです。私は、まず副作用の心配が少ないサプリメントから試してみることにしました。飲み始めて一ヶ月ほど経った頃、劇的な変化ではないものの、朝のこわばりが少し和らいでいることに気づきました。そして三ヶ月が経つ頃には、あれほどつらかった、物を掴む時の鋭い痛みが、明らかに軽減していたのです。まだ完全に痛みが消えたわけではありません。でも、痛みのために諦めかけていたピアノを、また楽しめるようになったことが、何よりの喜びでした。私のこの経験は、すべての女性に当てはまるわけではないかもしれません。でも、もし同じように原因不明の指の痛みに悩んでいるなら、整形外科だけでなく、婦人科という視点も持ってみてほしい。そう、心から伝えたいです。
ある日突然始まった指の痛みと私の選択