指の関節が複数、しかも左右の手に痛みや腫れが出始めると、多くの人が「もしかして関節リウマチなのでは?」という深刻な不安を抱きます。関節リウマチは、免疫の異常によって関節が破壊されていく進行性の病気であり、早期の専門的な治療が不可欠です。しかし、更年期に現れる指の痛みは、関節リウマチと症状が似ている部分もありますが、明確な違いも存在します。その違いを知っておくことは、不必要な不安を解消し、適切な診療科を選ぶ上で非常に重要です。まず、症状が現れる「関節の場所」に注目しましょう。更年期に関連する指の痛みで最も多い「ヘバーデン結節」は、指の最も先端に近い「第一関節(DIP関節)」に症状が現れます。一方、関節リウマチは、主に指の「第二関節(PIP関節)」や「付け根の関節(MP関節)」、そして「手首の関節」に発症し、第一関節が侵されることは比較的稀です。次に、「朝のこわばり」の持続時間です。どちらの病気でも朝のこわばりは見られますが、更年期の関節痛の場合、手を動かし始めると数分から長くても30分以内には改善することが多いです。対して、関節リウマチの朝のこわばりは、通常1時間以上も持続するのが特徴です。また、血液検査の結果も大きな判断材料となります。関節リウマチでは、「リウマトイド因子」や、より特異性の高い「抗CCP抗体」が陽性となることが多いですが、更年期の関節痛では、これらの数値は陰性です。もし、あなたの指の痛みが、第二関節や付け根の関節を中心に、左右対称に起こり、1時間以上続く朝のこわばりを伴う場合は、迷わず「リウマチ科」を受診してください。一方で、痛みが第一関節中心であれば、まずは「整形外科」で相談するのが良いでしょう。