ものもらいに関して、古くから様々な都市伝説や迷信が語り継がれてきました。その中には、現代医学から見ると全く根拠のないものも少なくありません。例えば、「ものもらいは人から人にうつる」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。しかし、これは誤解です。ものもらいの原因菌である黄色ブドウ球菌は、私たちの体表に常在している菌であり、空気感染や接触感染で人から人にうつる病気ではありません。ただし、ものもらいの人が使用したタオルやメイク用品を共有することで、間接的に菌が付着し、それが原因で発症する可能性はゼロではありません。しかし、これは「うつる」というよりも「間接的な感染」と表現するのが適切でしょう。また、「ものもらいは疲れている時にできやすい」という話は、ある程度真実を含んでいます。疲労やストレス、睡眠不足は免疫力を低下させ、細菌に対する体の抵抗力を弱めるため、ものもらいを発症しやすくなることは事実です。しかし、疲れていなくてもものもらいになることはあります。重要なのは、特定の状況だけでなく、常に目の周りの清潔を保ち、健康的な生活習慣を心がけることです。迷信に惑わされず、科学的根拠に基づいた正しい知識を持つことが、ものもらいの予防と対処には不可欠と言えるでしょう。子供は大人に比べて免疫力が未熟な上、無意識に目をこすったり、砂場で遊んだ後に手を洗わずに目を触ったりすることが多いため、ものもらいになりやすい傾向があります。親としては、子供の目の健康を守るために、いくつか実践できることがあります。まず、最も大切なのは、子供に手洗いの習慣を徹底させることです。外から帰ってきた時、食事の前、そして目を触る前には、必ず石鹸を使って手を洗うように指導しましょう。幼い子供には、歌を歌いながら手洗いを教えるなど、楽しく習慣化できる工夫も有効です。また、子供が目をこする癖がある場合は、その都度優しく注意し、なぜ目をこすってはいけないのかを説明してあげてください。かゆみがある場合は、アレルギーの可能性もあるため、眼科で相談するのも良いでしょう。プールの後など、目に細菌が入りやすい状況では、目を洗い流すことも有効です。
ものもらいを巡る都市伝説と真実