「めばちこが治ったと思ったら、またすぐにできてしまった」「年に何回も、めばちこに悩まされている」。このように、めばちこ(麦粒腫)を繰り返し発症してしまう方がいます。一度きりの感染症ではなく、なぜ何度も繰り返してしまうのでしょうか。その背景には、個人の「体質」や、見直すべき「生活習慣」が隠れている可能性があります。めばちこを繰り返す原因として、まず考えられるのが、「皮脂の分泌が多い体質」です。めばちこの原因菌である黄色ブドウ球菌は、皮脂をエサとして増殖します。そのため、もともと皮脂の分泌が活発な、いわゆる脂性肌の人は、まぶたの皮脂腺も詰まりやすく、細菌が繁殖しやすい環境にあると言えます。次に、「免疫力が低下しやすい」という体質的な要因も考えられます。もともと体が疲れやすかったり、アレルギー体質であったり、あるいは糖尿病などの基礎疾患があると、免疫機能が十分に働かず、常在菌であるブドウ球菌のコントロールがうまくいかなくなり、感染を繰り返す原因となります。また、日々の生活習慣も大きく影響します。例えば、アイメイクを毎日する人で、クレンジングが不十分な場合、メイクの油分や汚れがマイボーム腺などの分泌腺を詰まらせ、慢性的な炎症の温床となります。また、コンタクトレンズの不適切な使用、特に、洗浄が不十分であったり、長時間装用し続けたりすることは、目に常に細菌を持ち込むリスクとなり、めばちこを繰り返す直接的な原因となります。さらに、食生活の乱れも無視できません。脂っこい食事や、甘いものの摂りすぎは、皮脂の分泌を過剰にし、体の炎症反応を促進させることが知られています。睡眠不足や、慢性的なストレスも、免疫力を低下させる大きな要因です。もし、あなたが繰り返すめばちこに悩んでいるなら、眼科での治療と並行して、自分自身の体質や生活習慣を一度、根本から見直してみる必要があります。メイク道具は清潔か、コンタクトレンズのケアは正しいか、食生活は乱れていないか、十分な休息はとれているか。その一つ一つの見直しが、しつこいめばちことの縁を切るための、重要な一歩となるのです。